Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
岩波文庫の「アドルフ」はまだ出版されていなかった。私は然し図書館へ通った。私自身に考える気力がなかったので、私は私の考えを本の中から探しだしたいと考えた。読みたい本もなく、読みつづける根気もなかった。私は然し根気よく図書館に通った。私は本の目録をくりながら、いつも、こう考えるのだ。俺の心はどこにあるのだろう? どこか、このへんに、俺の心が、かくされていないか? 私はとうとう論語も読み、徒然草も読んだ。勿論、いくらも読まないうちに、読みつづける気力を失っていた。
すると皮肉なもので、突然アキが私達をたよって落ちのびてきたのだ。アキは淋病になっていた。それが分ると、男に追いだされてしまったのだ。もっとも、男に新しい女ができたのが実際の理由で、淋病はその女から男へ、男からアキへ伝染したのが本当の径路なのだというのだが、アキ自身、どうでもいいや、という通り、どうでもよかったに相違ない。アキは薄情な女だから友達がない。天地に私の女以外にたよるところはなかった。
私の女が私をこの田舎町へ移した理由は、私をアキから離すことが最大の眼目であったと思う。それは痛烈な思いであったに相違ない。