Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
思えば私は少年時代から落伍者が好きであった。私はいくらかフランス語が読めるようになると長島萃という男と毎週一回会合して、ルノルマンの「落伍者」という戯曲を読んだ。(もっともこの戯曲は退屈だったが)私は然しもっと少年時代からポオやボードレエルや啄木などを文学と同時に落伍者として愛しており、モリエールやヴォルテールやボンマルシェを熱愛したのも人生の底流に不動の岩盤を露呈している虚無に対する熱愛に外ならなかった。然しながら私の落伍者への偏向は更にもっとさかのぼる。私は新潟中学というところを三年生の夏に追いだされたのだが、そのとき、学校の机の蓋の裏側に、余は偉大なる落伍者となっていつの日か歴史の中によみがえるであろうと、キザなことを彫ってきた。もとより小学生の私は大将だの大臣だの飛行家になるつもりであったが、いつごろから落伍者に志望を変えたのであったか。家庭でも、隣近所、学校でも憎まれ者の私は、いつか傲然と世を白眼視するようになっていた。もっとも私は稀代のオッチョコチョイであるから、当時流行の思潮の一つにそんなものが有ったのかも知れない。
然し、少年時代の夢のような落伍者、それからルノルマンのリリックな落伍者、それらの雰囲気的な落伍者と、私が現実に落ちこんだ落伍者とは違っていた。