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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

私の心の悲しさ、切なさは、あの少年の頃から、今も変りがないのであった。

私は「家」に怖れと憎しみを感じ、海と空と風の中にふるさとの愛を感じていた。それは然し、同時に同じ物の表と裏でもあり、私は憎み怖れる母に最もふるさとと愛を感じており、海と空と風の中にふるさとの母をよんでいた。常に切なくよびもとめていた。だから怖れる家の中に、あの陰鬱な一かたまりの漂う気配の中に、私は又、私のやみがたい宿命の情熱を托しひそめてもいたのであった。私も亦、常に家を逃れながら、家の一匹の虫であった。

私の家から一町ほど離れたところに吉田という母の実家の別邸があった。ここに私の従兄に当る男が住んでおり、女中頭の子供が白痴であった。私よりも五ツぐらい年上であったと思う。

小学校の四年のとき白痴になったのであるが、そのときは碁が四級ぐらいで、白痴にならなければ、いっぱし碁打の専門家になれたかも知れない。白痴になってからは年毎に力が劣え、従兄に何目か置かせていたのが相先になり、逆に何目か置くようになっていた。白痴は強情であったが臆病であった。この別邸の裏は新潟の刑務所だが、碁を打ってお前が負けたら刑務所へ入れるとか、土蔵へ入れると云って脅かす。