Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (こうやひじり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.025 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

やっぱり信州へ出まする、先は一つで七里ばかり総体近うござりますが、いや今時往来の出来るのじゃあござりませぬ。去年もご坊様、親子連の巡礼が間違えて入ったというで、はれ大変な、乞食を見たような者じゃというて、人命に代りはねえ、追かけて助けべえと、巡査様が三人、村の者が十二人、一組になってこれから押登って、やっと連れて戻ったくらいでがす。ご坊様も血気に逸って近道をしてはなりましねえぞ、草臥れて野宿をしてからがここを行かっしゃるよりはましでござるに。はい、気を付けて行かっしゃれ。)

ここで百姓に別れてその川の石の上を行こうとしたがふと猶予ったのは売薬の身の上で。

まさかに聞いたほどでもあるまいが、それが本当ならば見殺じゃ、どの道私は出家の体、日が暮れるまでに宿へ着いて屋根の下に寝るには及ばぬ、追着いて引戻してやろう。罷違うて旧道を皆歩行いても怪しゅうはあるまい、こういう時候じゃ、狼の旬でもなく、魑魅魍魎の汐さきでもない、ままよ、と思うて、見送ると早や深切な百姓の姿も見えぬ。

(よし。)

思切って坂道を取って懸った、侠気があったのではござらぬ、血気に逸ったではもとよりない、今申したようではずっともう悟ったようじゃが、いやなかなかの臆病者、川の水を飲むのさえ気が怯けたほど生命が大事で、なぜまたと謂わっしゃるか。