Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
彼は鍬を持って、未完成の部分の壁を、掘り始める。見る見る土の洞窟が出来て行く。その時代には珍らしい地下室、異国的な赤煉瓦、そこで奇妙な穴掘りを続ける、長い髪の毛の明治男。何とも云えぬ、不思議な景色である。
人一人這入れる程の穴が出来上った。
その穴を眺めた四十男のゾッとする様な笑い顔。
彼は穴蔵を出て、着物を着換えて、客間にじっと待っている。その客間というのは、映画を見ている一同が、さっき食事をした部屋だ。洋風家具がなくて、座蒲団と煙草盆に変っているが、部屋は同じあの部屋だ。
そこへ、約束があったものか、忍男が訪ねて来る。主客の前に酒肴が運ばれる。形は違うけれど、やっぱり今夜と同じ晩餐の饗応である。
「アア、きっと食事のあとで、地下室へ案内するのだ。全く同じことが起るのだ」
予想は的中した。主人は立上って、恨重なる忍男を伴い、次の部屋へ来ると、さっきと同じ押入れを開き、同じ上げ蓋を開いて、地下への階段を降り始めた。スクリーンの出来事と、さっきの現実とが、ピッタリ同じ順序で進んで行く。故意か偶然か。余りにもいぶかしき一致ではないか。
室内の場面には、玄人の様にライトが用いられ、地下室の暗黒も巧みに撮影されている。