Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
随って、犯人の手掛りを探す場合にも、大抵の人は目よりも高い場所を忘れている。どんなに丹念に床を探し廻る人でも、天井は見ようとさえしないものです。壁でさえも、殆ど注意しないのが普通です。僕の友達の明智君に云わせると、これはつまり心理上の盲点なんですね。我々はウッカリするとこいつに引かかって、飛んだ失策をやることがありますよ。それに、ここは、丁度電燈の傘の線の上だし、壁紙の模様にまぎれて、一寸位見たのでは気がつきませんからね」
それにしても、変な場所に手型が残ったものだ。五尺何寸の玉村二郎や波越警部の目の線よりもずっと高く、一杯に腕を延ばしてやっと届く様な場所に、どうしてこんな手型がついたのであろう。
いや、手型の高さよりも、もっと驚くべきことが、間もなく分った。それは血の手の平の寸法だ。波越氏が計って見ると、普通人の掌の少くも一倍半はある。異様に巨大な手型であった。それを知った警察の人々玉村父子等は、思わず声を呑んで顔を見合わした。こんな手の平を持った人間が、一体この世にいるのであろうか。
人々は、迂濶に彼等の空想を喋ることを恐れたけれど、心の中では、一人の巨人を描いていた。