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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

神の存在を認めないのではなく、この人々には、落ちついて、神さびた気韻に浴する余裕がないのだ――とすれ違った老人が、あきれたようにつぶやいた。

「今歩いて来た猫間川の方は、あれに見える流れだろうか」

「いや、もっと東のほうになるだろう」

「ずいぶん、歩いたな。御両所、腹は減らないか」

「うむ。だがこの辺には、何もあるまい」

「あります――」と宅助が口を入れた。

「田楽か」

「いいえ、湯どうふ屋というんで、高津の名物。たいがいなものはそこで休みます」

「葉桜頃になって、湯豆腐は少し感服しないな、何かほかに茶屋はないか」

「看板は湯どうふでも、木の芽料理、焼蛤、ちょっと飲めるようになっております」

「まあよいわ、朝からぜいたく好みでもあるまい。どこだそこは?」

「舞台のそばでございます」

宅助のあとについて、三人は境内の湯どうふ屋へ入って行った。まだ午前だが、掛座敷にも床几にも客がいっぱいだ。そこを縫って、奥の張出し、見晴らしの小座敷に席をとった。

「腸に沁みるようだ」

天堂一角は、朝酒の一杯に舌鼓をうって、飲みほしながら、

「しかし、ゆうべは、痛快であった」

と、それを、お十夜へさした。