Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「農人橋の東詰じゃ。そこにはたしか、住居もあったように思う」
「すると、お久良という内儀を訪ねようとするには、そこへまいれば会われるな」
「店の船が出るまでは、多分住居に泊っているだろう」
「ふ、そうか。じゃひとつ三人連れで、その四国屋へ出かけてみようじゃねえか。この雁首をそろえて行けば、たいがい泥を吐いてしまうだろう。それに向うは御用商人、こっちは蜂須賀家のお名前をかざして、あくまで脅しの詮議と出る。証人には宅助という者があるから、弦之丞とお綱の居所を、知らないとはいわせない」
そんな話を小耳にはさむにつけて、宅助は癪にさわった。酒一杯飲ませないで、人をダシに使うことばかり考えていやがる。そこへゆくと、俺の旦那の森啓之助様は、侍としちゃろくでもないほうだが、話は分る。こんな奴らのお先に使われているより、早く、お米を捕まえて、国元へ帰った方が、どんなにましだかしれやしねえ――と腹の中で啖呵をきった。
とうとう我慢ができなくなった。
賤しい手つきで、ふところから、かますの莨入れを出して、わざと煙管で粉をハタきながら、
「旦那、すみませんが」
と頭をかいた。