Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
そして、女というものの持つ両面をすっかり観破したように思う。どうして、今あんなことをしながら、もうこういうふうに澄ませるものか、と感心した。
だが、俺にゃもう駄目なんだ――その片面を見せちまったんだから――許してしまったのだから、ふふん。
「ああ、いいあんべいに酔いがさめてきた。じゃお米さん、俺は屋敷へ帰るからね」
「じゃ、私はこれから四国屋へ行って」
「うむ、船のほうの一件を、よく頼んでおおきなせえ。そして、明日の晩こそ、時刻をたがえず、船の出る所へ来ていなくっちゃいけませんぜ。わっしもそこへきっと行くから」
「大丈夫だよ。けれどねえ、お前……」
ふわりとお米が側へ寄ってきた。覚えのある肌の匂いである。で宅助、
「う? ……」と返辞が甘くなった。
「啓之助様が来ているっていうことだけれど、話しちゃ嫌だよ」
「なにをです?」
「あそこでのことさ」
「とんでもねえ、誰がそんなことを、自分からしゃべるやつがあるものか。御主人様の思い女と、ちょッと、変になって、何したなンておくびにも口を辷らせようものなら、それこそ笠の台が飛びまさあ」
「じゃ、阿波へ帰るまで、何にも知らない顔をしてネ」