Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
妙な呻きを聞いたのは、有村ばかりでなかったとみえて、小姓部屋からひとりの近習が走りだし、やはり錠口に立って、耳を澄ましているふうだったが、うす暗い所から、
「安田伊織ではないか」
と、突然、三位卿に声をかけられて、びっくりしたようにふりかえった。
「あ、有村様でございましたか」
「向うでする呻き声、どうやら殿の寝室らしいが、阿波殿にはどうしておられるな!」
「先ほど、お櫓からお下り遊ばすと、すぐに気分がお悪いと仰せられて、典医のさしあげた薬湯も召しあがらずに、お臥りになった筈でござりますが」
「それでは今のは囈言か……一八郎の死をひどく気にされていたところへ、妙にきょうは悪い偶然が重なったので、まだ昼の地震にゆられておいでになるとみえる」
「あ、何やらまた、激しいお声を出されておられます。オ……いつにない鋭いお声で」
「だいぶ神経を起こしておられる。伊織、ちょっと御寝所へ行って揺り起こしてあげい」
「はい」
「お燭台がまだまいっておらぬようじゃ」
「ただ今、手燭をもちましてお移し申してまいります」
手雪洞をかざした近習の安田伊織という若者、なんの気もなくお次部屋へ入って、しきりにうなされている寝所の襖をことさら忍びやかにあけてにじり進むと、