Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

黙って部屋の外へ目じらせすると、お綱は笠で髪をかばいながら、ツウと寄って素早くその中へ身を潜めた。色彩をまぜた反物がひと抱えに入ったように。

弦之丞もまた、新吉が次のつづらを手早く開けたのを見て、「さらば」と、刀を手に、それへ足を入れかけた。

そして中へ身をかがめようとしながら、ふと蝋燭の焔を見て、ジイと心耳を澄ます様子であったが、何思ったか、不意に、一刀の鞘を払って畳の筋目へ逆持ちに切ッ尖を向け――ブスッと、鍔の際まで突き通した。

と。目には見えぬ所で、

「ウウッ……」と陰惨な――深いうめき声。

新吉は踏んでいる床が左右に揺れたかと思って角柱へ背なかを寄せたが、その入口に、いつの間にかお久良が来て立っていた。

「新吉や」

「ああ、お家様ですか」

「だいぶ探りが入っている様子、どうやら今夜の船は危ないようだよ」

「じゃあ所詮無事には出られますまいか」

「何しろ、奥に張り込んでいる竹屋卿という方がなかなか鋭いお人らしい」

「ああ」と新吉、思わず出足を鈍らして――

「そいつあどうも弱りましたな」

「私のほうはかまいませんけれど、弦之丞様、どうなさいますか」