Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「あんな美しい身寄りが其許にあったとは初耳である」と苦笑をふくみ、皮肉な眼で啓之助の足もとから逆さに見上げた。
「どうも恐れ入りました」
「なにも恐れいることはない、身寄りとあらば格別の間がら。これから船へ乗るのであろう、親切に面倒をみておやンなさい」
「いや、仲間がおりますから」
「遠慮するな!」
痛い言葉だ。
「宅助ッ」と啓之助はその腹立たしさを向うへ当って、
「たわけ者め、何をまごついているのだ。早く船のほうへ行かんか、船のほうへ。お目ざわりなッ」
と叱りとばした。――すると三位卿はもう小屋の中へ入って、あっちこっちを見廻していたが、
「ヤ、いつのまにか、つづらは船へ運ばれているぞ」と叫んだ。
ここに三個のつづらがあったことを、たしかに見届けていた原士たちは、驚いて有村と一緒に小屋の中をかき廻したけれど、荷縄の束や蓆が山に積んであるばかりで、つづらはいつのまにか運び出されてある。
と。ひとりの原士。
隅の方に抱きあって、怖ろしそうに眼をさましていた二人の子供を見つけだした。
「おい」と、その前に二、三人立って――「お前たちはこの小屋に寝ていたのか」
「ウン……」