Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
と眼八は、煙管を抜いて、指に挟んだが、煙草盆が遠いので、その手を空しくさせたまま、しばらく言葉を切っていた。
「ふウム……そうか!」
と桐井角兵衛は、机に山積している各地の郡奉行の報告よりは、眼八が、煙草入れの筒と一緒に抜いた心当たりという一句に、すっかり引きずり込まれて、
「して、その二人の生死は?」
と、まず、訊ねた。
「奴らは、たしかに死んではおりません」
と眼八は、濁りのない声で、言いきった。
ゆうべ、手先の眼八は、免許町の刀研師大黒宗理の店へ寄って、ある兇行に使われた小柄の目利をして貰っている間に、思いがけない拾いものにぶつかった。
髪切虫のヒゲみたいに鋭いかれの感覚は、そこへ来た男と宗理の対話を二言三言聞いただけで、
「こいつあ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
と、思った。
職業的な興奮を超えて、一種の功名心に燃ゆる動悸さえうった。
この間うちから、阿波全土の代官や手先や町同心が、蚤取眼でたずねていても、なお、その生死すら判定しない法月弦之丞という江戸方の隠密と、お綱という女を、ひとつ、この眼八の手で、アッサリ引っくくってみたら、節穴同様な目玉をもって納まっている町同心や郡奉行などが、どんな面をするだろうか?