Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「し、知らねえものを」
「野郎」
と、土足でその背中を踏みつけて、
「知らねえというなア申し上げますという枕言葉だ。そんな白をいくら切っても、手加減をするような眼八じゃあねえ! 吐かせ、いえ、ひとこというのが遅れるたびに、ひとつずつてめえの面にアザが殖えるぞ」
ばらばらと冷たいものが降りかかった。
沖の辰巳島から、まともに吹きあげてくる海風に、身ぶるいをした巨松の梢が、振るい落した白玉の雫――。
眉に光るやつを、手の甲で拭きながら、
「――今から一月半ばかり前に、法月弦之丞とお綱という奴が、酒菰に身をつつんで、小雨のふる闇にまぎれて、大勘の家へ来たという図星まで、スッカリお調べが上がっているのだ。いくらてめえが親方に義理だてをしたところが、やがてすぐに判ることじゃあねえか、つまらぬ強情を突っ張っていねえで、潮びたしをなおしにやったあの刀を、どこへ届けた。その匿れ家を白状してしまえ。すなおに泥を吐いてしまえば、眼八のとりなしで、お上のお咎めはいいようにしてやるぜ。どうだ源次、オイ源次、よく胸に手をあてて考えなおせよ」
「徳島へ出かけたついでに、刀を受け取ってきたのはたしかだが、それを途中で棟梁の手へ渡したきり、後のことは何にも知らねえ」