Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
かの女が、何か叫んだ声を割って、サッと白い風がきた。上へと思ったが逃げきれず、後ろへかわした弾みにズズ――ッと七、八尺辷り落ちる。
孫兵衛の下りてくる足もとを、お綱は新藤五の切ッ尖で待った。上の顔は嘲笑って、構えをとりながら飛ぼうとする。
途端である。
「おのれッ!」と耳もとで。
はッと見ると、法月弦之丞、浅間、岡村の同心と、周馬、有村の四人を上へ上へとおびきよせて、それを捨てるが早いか、お十夜の方へ疾風に来た。
迎えざるを得なかった。孫兵衛はすばしこく刀を持ちかえた。これは四人を束にしたよりもこたえがある。
すでに、ここまで一同が吊り上げられてくるうちに同心のひとり安井民右衛門が斬り伏せられていた。それと、最も頼むべき天堂一角が弦之丞の姿を見つけた真ッ先に、機先を制せられて一太刀浴びてしまったのは、なんといってもはなはだしい力を失していた。頼むは孫兵衛だけといってもよい。
弦之丞はたえずお綱を見ていた。四人を対手にしつつ、かの女の身辺を開くように開くようにと防いでいた。
「あッ、間者牢へ」
お綱がそれに力を得て、洞窟の入口へ近づいたのを見た同心の浅間丈太郎は、こういって敵の剣前を離れ、上へ這おうとすると、飛び寄った弦之丞の皎刀が、鋭く足をすくった。