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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「秘帖をさがし当てたとしても、それを携えて、どうして、この重囲を脱出することができるか?」

次の問題はそれであった。

一難、また一難。

これには、さすがの弦之丞も惑悩している。

生きるはやすい。

この山に無為な生命をつづけようとするならば、屋島の浦から祖谷へ落ちてきた平家の余族のように、それはいとやすいことに思える。しかし、麓の手配りを破る策は絶対にない。

それは、きょうまでの受難を、ひとまとめにしたよりはまだ難事だった。

山つづき、祖谷の桟橋をよじ越えて、土佐、讃岐の国境をうかがおうか。

それも至難。

第一お綱にたえられまい。

ふたたび海部路へ戻るは下策である。

ただわずかに弦之丞の誘惑を感じるのは、最難関と思われる貞光口の木戸を斬り破って、徳島の城下へまぎれこむ。――だが、剣は守るべく、頼るに絶対のものではない。

要するに、絶体絶命! それが二人の足をのせている運命の石だ。

どう転落してゆくか?

天意だ、もういちど、明日の変化を待ってみよう。弦之丞はそこに意をすえて、星のうごきに夜明けの近いのを知った。

で――麓の木戸から新手の声があがらぬうちにと、まだ真っ暗であるが、天堂一角の死骸を断崖の下に探そうとして、お綱と一緒に来たところであった。