Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
いったん川島へ帰った老人は、原士仲間へこういって旅装をしなおし、従僕次郎ひとりを連れて、徳島の城下へ出かけて行った。
その途中で、次郎がきいた。
「龍耳軒様」
「ウム」
「どうも私には分りませぬ」
「なにが?」
「剣山のことでございます」
「あの時のわしの処置を知っているのはお前だけだ。面白かろう、徳島の城下へ行って評判するか」
「ど、どういたしまして、決して、おくびにも洩らしは致しません」
「そう秘密にせんでもよろしい。いずれ、今にばれてくる。殺さぬものを殺したといったところで、その人間がいつまで世間を歩かずにはいないからな」
「で、なおのこと、次郎めには、あなた様の心のうちが解せませんので」
「よいではないか、分らなければ分らぬなりで」
「ところが、分らぬこと程、よけいに聞いてみたいので困ります」
「貴様、やはり秘密をしゃべる性だな」
「しゃべらぬつもりでございますが、やはりそんな性に見えましょうか」
「冗談じゃ。お前は口が固い」
「では、お話し下さいませ」
「またか」
「うるさい奴でございます」
「考えてみろよ。分るじゃないか」
「ずいぶん考えておりますが」
「法月弦之丞という男、どうも、わしの気に入ったのさ。