Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「ついてくるならついてこい、いやなら帰れ!」そういわないばかりの態度。
周馬の眉間にムッとした色が燃える。が、孫兵衛が強く変ったのを見ると、にわかに、腰の弱い妥協性を出して、
「おい、お十夜お十夜」と、茶屋の門口へまですがってゆき、そこで、
「貴公、何か少し勘ちがいをしている。そう悪くとらんでもいいじゃないか」
また、何かくどくどと言いわけをしているうちに、赤前だれの茶屋の女が、秋草を植えこんだ奥の浜座敷へふたりを案内した。
気まずくなった気持はなかなか溶けないで、孫兵衛も旅川周馬も、黙って、手酌の苦い杯をかさねている。
「なんだか酒がうまくねえ」
こじれたお十夜は、酔うほど青くなり、周馬は胸にいちもつ、かれの狂酔を恐れるように、
「おれが悪かったよ……」
とうつむいていた。
「なにもお前のせいじゃない。おれの気分で、今夜は酒がうまくねえんだ」
周馬が折れて出たので、お十夜の機嫌も少し和らいだ。
「イヤ、拙者があまり愚痴ッぽかった」と、その上にも相手のこじれたふうをなだめて――「重々拙者の狐疑心が悪い。まあ不快を溶いてくれたまえ。酌ごうか、一ツ」
「ウム」
お十夜は不承不承に杯を出したが、幇間のように屈してくる周馬を見ると、それ以上怒れもせず、