Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
朝酒に赤い額をして、
「駕屋で達者なやつを、六人もというと……この村にはあるめえな」
と山科を出て行った。
肩つぎなしに江戸まで通しの利きそうな、雲助の達者を探し集めに。
――道具もなければ人もいない留守の浪宅はがらんとしている。たまたま赤とんぼがぶつかってくる。
すると、窓の外で、
「ははあ、駕をあつらえに行きやあがったな」
と、伊太夫を見送って、竹格子の外へ、のっそり顔を出した乞食があった。
月代もひげも伸びきって、頬は青くこけているが、よく見ると、まだ真の乞食道に徹しきって安心して生きているほど余裕のある乞食ではなかった。どこかにまだ落ちぶれきれぬ所と、自分の姿を知っているふうがある。そわそわしている。
のそり、のそり、きたない足で畳の上へあがってきた。そして、家のまん中に立って、
「ふうん……?」
うなりながら、見廻していた。
「……なんにもねえや、徳利と茶碗、火鉢が一ツ、あとは、戸棚に女? ……」と感心して、それから悠々と壁に懸けてあった振分の真田紐を解いた。
周馬から伊太夫へ来た手紙だけをひき抜き、あとは元の通り壁へかけた。
むさぼるように、その手紙を読みはじめて、