Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて、家の中から天蓋をつけた男女の影が、姿をそろえて、土間にわらじをはきかけた。お吉は先に外へ出て、空の模様を気づかったり家のまわりを見張っている。

「じゃ、おふたり様」

と、後について、草履を突っかけて外へ出た万吉。

「明日」

とだけいって、意味は言外に、小腰をかがめると、

「ウム」

弦之丞もうなずいただけで、そこから左右に袂を分ちかけたが、女は女同士のお綱とお吉、両方からすり寄って何かしきりと、別離を惜しんでいる様子。

ふっ……と涙ぐましいものがこみあげてくるのをまぎらすべく、万吉は、ひと足先に駆けだした。

まもなく、かれが行きついた家は、四国屋の寮であった。

そこでも、お久良とは裏縁の立ち話で用向きだけを告げるとまたすぐに、忙しそうに出て行った。

*     *     *

「御門番。おい、御門番」

同じ夜の宵の口。

安治川屋敷の袖門のかげに立って、あたりをはばかるような声が呼んでいる。

「御門番」

それも、よくよく思いきって呼ぶのらしく、一声かけては、またあとへ戻ったり、うろうろと帰ってきたりして、その揚句にやはり、

「ちょッと顔を貸してくれんか、オイ、御門の衆」