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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

当時、阿波の御領主は、有名な義伝公で、あのとおり豪邁で、徳川家に楯をついたお方――天草の余党はあの君のお情けで、阿波の奥地へ棲むようになりました。原士の中に七家の切支丹族が今日まで連綿としてきて、しかも、秘密に信仰を保ってこられたのは、ひとつの奇蹟と申されます。

マリヤの笄は代々孫兵衛の家につたえられ、仏間と見せかけて実は祈祷の部屋である柱の切嵌めに埋めて、七家のものの信仰の像とあがめておりました。その笄が、今孫兵衛の髷に刺さっておるこの品なのでございます。

慈恩の笄でございます、母性愛の光でございます、子を憂うる孫兵衛の母が、いまわの際の意見を縫いつけた呪縛の針でございます。

申すまでもなく、切支丹は禁教。

天主を口にとなえることはおろか、刀の鍔の裏に、十字に似た模様が彫ってあっただけでさえ、逆磔になった侍がありまする。

月代に十字の傷痕、髷にマリヤの笄を刺された孫兵衛は、まったくひとつの呪縛にかかりました。

頭巾をとけば禁教者とみなされ、月代をのばし笄を抜きすてれば、イサベラ様の臨終の枕元で、七家の衆立会いで誓わせられたとおり、龍耳老人の暗殺の手が下ります。