Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas

Aozora Bunko

「ころせ」曲者はいった。

そしてまた、打てば打つほど、あざ笑って、

「これくらいな折檻で、口を割るような男に、なんで大事な役目を主人が申しつけるものか。無益なことをせずに、ひと思いに、この首を落せ」むしろ自分の克己心を誇るかのように彼は屈しなかった。

ついには、蔵人の方が、根気も尽き、不気味にもなって、だんだんに足が遠くなっていた。

六月に入った。葉ざくらの葉蔭に、珊瑚いろの赤い実が、陽に透いて血のように見える。熟れきった桜の実は、地にもこぼれていた。

十八公麿は、それを、小さな掌にひろい集めていた。すると、裏庭の奥で、

「和子様――」と、誰か呼ぶ。

「和子様……」何度目かの声に、十八公麿はやっと気がついたように、無邪気な目をやって、辺りを見まわした。

誰も、人影はなかった。だが、やや脅えたらしい童心は、急に、白昼の庭の広さが怖くなったらしく、あわてて、館の方へもどりかけた。と――また、

「和子様、ここですよ」

「? ……」十八公麿はふりかえって、じいっと、厩牢の中にみえる人間の影をふしぎそうに見つめていたが、やがて、怖々と寄って行って、

「おまえは、誰?」