Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
――今、法話を終って、ほっと、ほの紅い顔して白湯をのんでいる親鸞の前へ一人一人出て、こう挨拶をしながら――
その中に、一人の女が、壁のすみにうつ向いていた。すべての人が、立ってから出ようとするもののように、つつましやかに、まだ坐っていた。
もう庵室のうちは暗かった。そこらには、灯りがきている。夜風に明滅する明りの影に、その女の削ったように痩せている顔のおくれ毛が、淋しげに、うごいていた。
「……あ」女は、気がついたように、眸を上げた。もうまわりに人はいなかった。急に恥かしくなったように、女は、上人の前へおそるおそる両手をついて、
「ありがとうございました」そして、一光三尊仏の壇へ向って、白い手をあわせ、
「なむあみだぶつ」何遍かとなえて立ちかけた。
親鸞は、さっきから、その女を見ていたのである。――いやその夜に限らなかった。もう幾度となく法筵のある時には、いつでも、壁の隅のほうに小さくなって、熱心に自分の話に聞き入っているこの女のあることを知っていた。――ふと姿の見えない時は、親鸞も心のすみで、
「きょうはどうしたか」と、軽く案じられるほど、いつでも注意していた女性なのである。