Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
八
「ふざけては困る」頑然と、怒った。
「そう幾日も幾日も、病人などを置いておかれるか。毎晩、ほかの泊り客もあるのに、それを断っていては、おいらの嬶や餓鬼が干ぼしになるわい」
「迷惑でございましょう」
「大迷惑じゃ。とうに、追ん出したいのは山々だったが、薬代のたてかえもあるで、法隆寺に身寄りがいるという言い訳をあてにして、おぬしの来るのを待っていたのじゃ、持ち物なり、衣類なり、抵当において、すぐ連れて行ってくれい」
「ごもっともです。けれど、永いご猶予はおねがいしませぬゆえ――」
「…………」
「両、三日でも」
「ばかをぬかせ。病人なればこそ、きょうまででも、こらえていたのじゃ」
「私は、僧門の身、この病人と女子を、山門へ連れもどるわけには参りませぬ」
「――だから、知らぬというのか、借りをふみ倒す気か」
「決して」
「ならば、その法衣を脱いで出せ、女の帯を貰おう、いや、そんなことじゃまだ足りんわ、そうだ、よい数珠を持っておるな、水晶じゃろう、それもよこせ」
すると――いつのまにやら彼の後ろから入ってきて、のっそりと突っ立っていた隣の野武士ていの若い男が、左手に提げている革巻の刀の鞘で、わめいている亭主の横顔を、がつんと撲った。