Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
「甘いなあ、親分は」一人が水を掬いに行くと、そのあいだに四郎は、
「女にあまいのは、男の美点だ、女にあまいぐらいな人間でなくて何ができるか、男の意欲のうちで、いちばん大きなものが、他人は知らず、俺は女だ。清盛にせよ、頼朝にせよ、もし女嫌いだったら天下を取ろうという気も起さなかったろう。その証拠には、あいつらが天下をとると、なによりもまっ先に振舞うのは、自分がほしいと思う女はすぐ手にかけることじゃないか、俺は無冠の将軍だ、天下の大名どものうえに坐ってみようたあ思わないかわりに、きっと、これと思う女は、手に入れてみせる」そこへ、土器の破片に、水をすくってきた男が、
「親分、水を」
「口を割ってふくませろ」姫は微かにうめいて、星のような眸をみひらき、自分をとりまいている怖ろしい人間どもの顔を悪夢でも見ているように見まわしていた。
「生きている」四郎がつぶやくと、手下どもが、どっと腹をかかえて笑った。その声は、雲間から吹き落ちた天か魔のどよめきのように姫のうつつを驚かしたに違いない。姫は、ひいっ――と魂の声をあげて、四郎の肩を突きのけて走りかけた。
「どこへ行くっ?」