Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
手長猿
一
「だめだ、ここも」と、舌打ちした。
断崖の上にはまだ大勢の人声が残っていた。降りやんだ霰の空は星になって青く冴え返っている。そのかわりに刃ものを渡るような風が出て、断崖の際にうごいている黒々とした一群の影を吹きなぐっていた。
「蜘蛛っ」とその群れが上から呼ぶと、
「おウい……」彼は首を仰向けて呶鳴った。
「降りてきたって駄目だ。ここの淵も、越えられそうな道はねえぞっ」蜘蛛の足もとへ、ざらざらと土が鳴って崩れてきた。彼が止めているにもかかわらず、上の者どもは藤蔓にすがったり、根笹を頼りにして道もない傾斜を手長猿のように繋がって降りてくる。そして、一応渓流のあたりを俯瞰ろしてから、
「こう、雪解けで水嵩が増していちゃあ、どこまで行っても、やすやす、越えられる瀬はあるものか。この辺は、川幅のせまいほうだ。なんとかして渡ってしまえ」
「そうだとも、まさか、俺たちが、溺れもしまい」蜘蛛が、先を歩いていて、
「あぶないっ!」と、また止めた。
「なんだ」
「この下は、洞窟だ」
「ひさしを這って歩け」
「松明を点そうか」
「火はよせ」天城四郎だということが声がらではっきりと分る。
暗いのでおのおのの眼ばかりが光る。