Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
「……むむ」善信の唇は、それを眺めて、なんともいえないうれしさを綻ばした。
――それでこそわが妻。と、心のうちでいっているように、また、この焔こそ、夫婦の心を、一つに熔かす真実の鉱炉であると見入るように、さばさばとした顔をあくまで紅蓮に向けていた。
輦を焼いたので、牛は牛小屋から解かれ、牛飼と共に、翌る日、九条家へ帰された。玉日は、たった一人の侍女もそれにつけて、実家方へもどした。
さて、その他の弟子たちへも、善信は、思う仔細があればといって、暇を出した。絶縁というわけではないので、性善坊も、師の気持を察して、旅に出た。――めいめいも、行く先を求めて、岡崎を離れた。
草庵は、二人だけになった。――急に無住のようなさびしさにつつまれた。
「こうして待とう」善信は、妻へいった。玉日もうなずいた。
待つとは――いうまでもなく、叡山の者の報復である。あのまま黙っている山門の大衆ではない。あれから数日、音沙汰のないのは、むしろ大挙して襲ってくる険悪な雲の相を思わせるものがある。
(襲たらば? ――)というようなことも、その時の覚悟なども、善信は一切、妻にいっていなかった。