Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
二
この後宮を見まわして、どこに、真実の人間らしい生活が少しでもあるか。飢えや、寒さや、汗を流すことを知らない世界には、また、人情の発露もない、同情の涙もない、物に対する欣びもない。
すべてがカサカサなのだ。有り余るものは、腐えたる脂粉のにおいである。絖や錦や綾にくるまれた棘である。珠に飾られた嫉視や、陥穽である。肉慾ばかり考えたがる彼女らの有閑である。
「もう、泣かないで……」松虫は、そのくせ自分も共に、泣いているのだった。抱き合って、
「もう、泣きますまい。泣いたとて、この運命が、どうなりましょう」
「阿難を伴れた釈尊が、ふいに、この御所へ来てくれないものでしょうか」
「ほんに、いつか鹿ヶ谷で聴いた法話を思い出しますね」
「ここに、釈尊がお出であそばしたら、何というでしょうか」
「眉をひそめるでしょう」
「印度の何とかいう王子のお城の中で仰っしゃったように、私たちの生活に面を反けるに違いありません。……ああどうにかならないでしょうか」
「どうにかとは」
「生きることです」
「でも、生きてだけはいるではありませんか」
「いいえ、これは、人間の生きているすがたではありません。