Clásicos japoneses con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lee 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.193 caracteres · 463 pantallas
家々の狭い間から黒煙が這い、道を駈ければ、どっちへ出ても、いつのまにか、山のように、柴が積んであり、柴はパチパチと、火をはぜている。
木の間、笹むらへさえ、火が這い出した。また、木の間には、縄を張り渡したり、木を仆したりしてある所もあって、馬を入れるのはおろか、徒歩で駈けるのも、危ういことこの上もない。
「気をつけろ。ここらにも、まだ敵の伏せ勢がいるらしいぞ」
それに答えるように、弦音や矢うなりが、四方に起った。煙を縫い、焔をかすめて、赤々と見える人影に、矢が飛んでくる。
「あ、兄者人っ」
「弟っ。弟っ」
呼びあい、呼びあい、見えぬ敵と戦う彷徨を繰返すだけだった。じつにこの野爪村の陥穽は、以後の将門の性格に大きな変化を来させしめたほど、苦しい苛みと危機迫る思いに追いつめられたものだった。そして彼は完全な罠に陥ちた形になった。いまはこれまでと、観念せずにいられなかったのである。と同時に、きょうまで、上手に企んでいた扶たちの――いや大叔父の国香の名を以て、いやおうなく自分をおびき出しにかけた彼等一連の人間共にたいして、本当の怒りに燃えたのもこの日だった。