Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lee 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 232.193 caracteres · 463 pantallas

Aozora Bunko

なぜ、というまでもなく。

彼は、今でも、この平安の都を、美しい花の都として、抱いていた。初めて、不毛の坂東曠野から上洛って来て――京都に入る第一歩を、あの高い所において、加茂川や、大内裏や、柳桜の、折ふし春の都を、一望して、

(ああ、こんな天国が、人間のすむ地上にあったのか? ……)

と、恍惚として、憧憬の満足に涙をたらした――あの日の印象を、いまもはっきり持っている。その、幻影でない、現実を、彼はいつまでも信じたい。

そして、自分も、その美しい都人のなかの一人となり得たことを誇っていた。汚したくない。ゆめ、傷つけたくないのである。

さらには、また、

故郷の人々からもいわれた通り、ここに遊学した効いを見せて、都の文化に習び、よい人物になって、ひとかどの男振りを、いつの日かには、故郷下総の豊田郷にかざって帰りたい。――

「だが、勉強のほうは、まるでだめだ。藤原氏の子だと、勧学院にも入学できるが、東国生れの小舎人では……」

彼の素朴は、まだ上京の初志を、わすれてはいなかった。だから、夜間、ひそかに夜学したり、昼も、この輦溜りでつぶす多くの時間を、なるべく、読書することにしていた。