Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
六
「? ……」だが、平次郎は、うなずかなかった。
じっと、圧し黙っている。強情な一徹な気性を、さながら二つの拳にあらわして、膝にかためたまま、黙っている。
「のう……」お吉のやさしい耳元のささやきにも答えないで。
前には、上人がいる。弟子たちがいる。
また、城主、郡司、その臣下、そして、集まっている無数の民衆がいる。
そのすべてが、仏の帰依者である。けれど、平次郎にはまだ、
(ウム)と、素直にいえないらしい。
なぜ。それを平次郎は今、あたりの人々に憚って口にいえないらしかったが、彼の気持をもし率直にいわせるならば、
(仏なんてない)と、自分に教えたのは、仏に仕える人であり、
(神もない)と、自分の頭脳へ沁みこませた人も、また、神に仕える人だったのである。
彼が、お吉との間にもうけた愛児は、ない神をあるように思い、ない仏をあるように信じたから、死なしてしまったのだと考えていた。
いいかげんな僧侶だの、怪しげな山伏だの、そういう類の者に信仰へ導かれて、彼は、たった一人の可愛い子を死なすために、夫婦して、食べる物も食べず、着るものも着ず、稼いだ金や、ささやかな蓄えを、みんなそれらの祈祷料だのなんだのに捧げてしまったのである。