Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
彼は放心したように、その鼠色に沈んだ眺めを見やりながら、呟いた。
「少なくとも二人は愛しあったままで、ぴったり心を寄せあったままで、死ぬことができたであろう、あふれるような緊張と、充実感と、よろこびを味わいながら」
生きていれば、いずれにせよ条件の支配を受けなければならない。死ぬことは二人にとって、むしろひとつの完成であった。
どんな連想作用からであるか、そのとき半之助は叔父のことを思いだした。
母親があり、妻子のある家庭をよそに、遠藤兵庫は「かんば沢」に憑かれ、ついにそこで自分の存在をかき消した。妻に不貞があったからか。それだけなら、解決する法があった筈だ。甲府勤番にまわされたのは、道楽が祟ったのだといわれる。どの程度のものかわからないけれども、左遷されるほどの道楽と、妻の不貞とで、叔父は世間や人間の裏おもてを知り、都会生活に厭気がさしたであろう。そして、こういう状態を打破し、改善するより、そこから逃げだしたくなったに、相違ない。甲府へゆくことは、新しい生活を始めることであったが、そこで「かんば沢」という、思いがけないものに、捉まってしまった。
――叔父は捉まった。