Clásicos japoneses con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lee 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 566.138 caracteres · 1127 pantallas
しかし――犬に聞きわけのあろうはずもない。犬はただ、浅ましい飼主の血相を悲しみ、そして恐れるだけだった。
「――どこへ失せやがったか?」唇を噛んで、山伏は、そこらを睨めまわして歩くのである。心蓮は、たましいが竦んでしまった。――見つかったら、人違いでもしかねまい。逃げようか、じっとしていようか。彼は、ひとりでに五体がぶるぶるふるえてくるのをどうしようもなかった。
「街道のほうだな」そのうちに、こうつぶやくと、山伏は引っさげ刀のまま、彼方へ韋駄天のように走り去ってしまった。
もちろん、黒犬もその後について――心蓮は、ほっとした。
われに返ってくると、冷たい汗が腋の下をぬらしていた。ふたたび戻ってこないものでもない、今のうちだ。
彼は、崖を駈け上がった。そして山伏が破って出た柵の間から寺内へ入ってみると、ここは、寂として樹海の底に沈んでいる真夜中の伽藍が眼にうつるだけなのである。
「お、誰か起きている」心蓮は、奥ふかい堂の渡り廊下に、一つの小さい燈火が流れてくるのを眼にとめた。
三
「お願いの者にござります」近づいて、心蓮が地上に額ずくと、紙燭を持って、ちょうど橋廊架のうえを通りかけた寺僧が、