Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

雨のあとだからだろう、少し濁って波立っている海を見やりながら、そのときも与平のほうへは眼を向けなかった。

「八年まえ、庚辰年の九月三日のことでした、ええ」と与平は語った、「その年の六月に新しく銀が鋳替えになって、銭相場の上り下りがひどく、私の店などもかなり大きな損をしたものですが、悪いことは重なるもので、私の仕入れた反物にきず物が三反もありました、伊勢崎の安い紬縞で、一反は女物でしたが、染めむらと尺たらずです」

女房は例のとおり毒づき始め、おまえは厄病神だ、いまにこの店を潰す気だろうと罵り、子供たちの見ている前で彼を突きとばした。店のあがり端にいた彼は、土間へ転げ落ちたはずみに頭を敷居へ打ちつけ、鬢のところが一寸ばかり切れた。

「手に血が付いたのを見て、私はくやしさに眼がくらんだようになり、女房に殴りかかろうとしましたが、生れつきというものはしようのないもんで、着物の塵を払い、自分で傷の手当てにかかりました」

口惜しさで全身がふるえ、あふれ出る涙がなかなか止らなかった。そしてその夜、小僧奉公に来たときから、婿になって十年以来のことを思い返し、これでは生きているかいはない、いっそ女房を殺して自分も死んでしまおう、と決心した。