Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

ただおかしなことに、さぶの顔の見えるときだけは、眼の前がまっ赤になって揺れた。おら、ここにいるよ栄ちゃん、ここだよと、まっ赤な色の中からさぶは呼びかけた。おどおどした眼で、口許に詫びるような微笑をうかべながら、さぶはさも心配そうにみつめるのである。それがあまりになまなましいので、栄二は首を振り、おれは大丈夫だ、そう気をもむな、そのだらしのねえ顔を引込めろよ、と云わずにはいられなくなるのだ。――手当てをされるあいだに、栄二は三度も吐いた。なんとも形容しようのない悪臭のある物で、泥と砂と腐った水の固まりのような感じであり、その匂いはいつまでも舌に残った。

枕許にはいつも与平がいた。こぶの清七もしょっちゅう覗きに来た。仕事の手を抜いて来るらしい、医者のさんてつに叱られて帰るが、またすぐ覗きに来るというふうであった。夜になると、たいてい六、七人は集まって、与平にせきたてられるまで、話したり笑ったりしていった。――医者は滝本直道といい、京橋采女町で開業してい、そこから毎日かよって来るそうであった。なぜさんてつなどと呼ばれるのか誰も知らなかったが、そう呼ばれても滝本は訂正することもなく、改めて本名を名のることもなかった。