Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

だが、流石の水上署員も、一目見た時には、本物の若い女の片腕だと思い込んでしまった程、実によく出来た蝋細工であった。色と云い、形と云い、切口のグジャグジャになった所と云い、触って見てコツコツ音がするまでは、誰の目にも本物の生腕としか見えなかった。

それと殆ど時を同じうして、陸上では、木挽町の裏通りに、似た様な騒ぎが起っていた。

ある料理店の勝手口に、黒く塗った大型の塵芥箱が据えてある。一人の老ルンペンが、犬の様にその箱の中へ首を突込んで、屑問屋へ持込めそうな代物を猟っていたが、ジメジメしたごもくの中から、ニョッキリと現われたのが、やっぱり蝋細工の一本の腕であった。

ルンペンは、船頭の場合とは違って、目に見るよりも先に、指で触ったものだから、その手触りで、蝋細工だということがすぐ分った。

「だが、なんてマアよく出来た蝋細工だろう」

彼はそれを掴み出して、左見右見して感にたえている中に、見れば見る程、今死骸の二の腕から切離されたとしか思えない余りの生々しさに、段々不気味になって、ポイと道端へ放り出してしまった。

すると、なぜそんな突拍子もない事が起ったのか、通り魔の様に異様な出来事であったが、その辺を嗅ぎ廻っていた一匹の野良犬が、いきなり蝋細工の女の生腕を銜えると、往来の真中を真一文字に走り出したのだ。