Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
道行く人々も、怪奇小説の銅版挿絵にでもある様な、この異様な光景に、思わずハッと立止って、野犬の姿を見送らないではいられなかった。
御用聞きの小僧さん達は、見送ったばかりでは済まさぬ。何かその辺に落ちていた棒切れを拾って、わめきながら追っかける。
「ヤア、人間の腕だ。人間の腕を銜えてやがる」
そんな叫び声が口々に繰返されるものだから、両側の商家から、主人も、おかみさんも、小僧さんも、飛出して来て見送る。中には追手に加わって走り出すのもいる。
大げさに云うと、町中の人が、一隊をなして、まるで暴動ででもある様に、黒く折重なって走り出した。てんでに手や棒切れを振りながら、訳の分らぬ事をわめきながら。そして、その先頭に立って、彼等の一隊の司令官の様に、とりすまして、スタコラ走っているのは一匹の野良犬。その口には、今切離したばかりの様に生々しい人間の腕。実に何とも形容の出来ない変てこな光景であった。
この騒ぎがお巡りさんの耳に入らぬ訳はない。やがて、制服いかめしいお巡りさんの野犬追跡の一場面があって、結局問題の蝋人形の腕は、附近の交番の土間の片隅に落ちつくことになった。