Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

突然、殿村未亡人が妙なことを云い出した。

「どうしたんです。やっぱり気に入らないことがあるのですか」

「イイエ、そうじゃないのですけれど、……守さん、あたし、いやなものに魅入られているのではないかと思いますの」

そして、彼女は俄かに非常に真劒な表情になって、じっと守の眼を見つめながら、聞えるか聞えないかの囁き声になって云うのだ。

「あいつが、また現われ始めたのですよ。あたしが桜井様のお嬢さんと二人きりで、さし向いでお話していました時、ヒョイと気がつくと、マア、ゾッとするじゃありませんか。お嬢さんの着物の肩の所に、……アレが、エエ、アレよ。赤い蠍! いつかの珠子さんの時とおんなじ奴が、お嬢さんの肩にとまっていたじゃありませんか。……」

「殿村さん、それ本当ですか」

守青年は、ギョッとして、彼も妙に低い声になって、思わず聞き返した。

「お嬢さんをビックリさせてはいけないと思って、黙っていたのですけれど、あたしの怖がっている目つきで、お嬢さんにもそれが通じたと見えて、サッと青くおなりなすって、思わず立上って身震いなさると、あの赤い虫の死骸が、ポトリと床へ落ちたのです」