Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 659 caractères · 372 écrans

Aozora Bunko

かくて、かれの身辺には今、三人の可憐なる未開花がつぼみをかたく運命を托していた。於通も、そのひとりだし、茶々も、摩耶もそうだった。

絵師永徳にあずけた於通を、ふいに、軽々と、見に行ったのも、これで三度か四度目だった。絵を習っている。やっているな。――それだけで、その時の彼の気もちはすむのである。さっさと、城中に帰り、もう宵の灯となった。西の丸の女たちの群れのなかに、彼の姿は、他愛のない、一個、情痴の人間として、在った。

「でんか。……ちょっと、お耳にまで達しておきますが」

座に、居あわせた、曾呂利新左が、錠口からの取次を、囁いた。

聞くと、秀吉の眼が、きっとなった。こんな眼を、あたりの女性たちは、めったに見ないので、ふと、笑いさざめきを止めた。

「なに。滝川と長益が、三河から戻ってきたというか。……いや、すぐ聴こう。ここでよい。すぐ連れて来い」

滝川雄利と、織田長益のふたりは、けんらん、お花畑のごとき女性群の中の秀吉を見て、次の間に、平伏した。

「や。御苦労だった。――今、帰ったのか」

秀吉は、自分から立って、次の間の二人の前へ来て坐った。

華やかな燭や、とりどりな女性たちの色彩に、隣りしているせいか、使者二人の顔は、一見して、余りにも、蒼白な悲痛を剥き出しているように見えた。