Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
人生の四十。まだ先は長いとしていない。
そのみじかい間に、かれの抱負は途方もなく大きかった。無限な理想があった。それに向い、その障難を克服してゆく、一日一日のたまらない愉快な日があった。――しかるに人間の天寿がある。かれは惜しまずにいられないのである。
「於蘭、つづみを打て」
きょうも彼は舞わんとしていた。伊勢の使者を饗応して、使者が帰っても、まだ興じて、ひとり杯をあげていた昼だった。
蘭丸は、つぎへ退って、つづみを抱いて来たが、信長のまえに寄って、
「ただ今、横山の木下藤吉郎どのが、御着城になられましたが」
と、取次のことばを、また取次いだ。
ひと頃、浅井も朝倉も、三方ヶ原の結果によっては、大いに為すあらんとしていたらしく、しきりに蠢動しかけていたが、信玄が退いてからは、ぴたと自領の限界にすくみこんで、国境の保守に汲々としていた。
――まず、このぶんでは。
と、当座の平穏を見こして、藤吉郎はひそかに横山城を出、畿内から京地をすこしばかり巡遊していた。
どこの城将でも、またいかに戦乱でも、栄螺のように、そうのべつ城のなかにとじ籠っているわけもない。