Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans

Aozora Bunko

珠

……まあ、こちらへおいで下さい。ゆるゆるはおもてなしもできんが、茶なと一ぷくあげましょう」

三河守は、さきに立って、彼を庭園の茶室のほうへみちびいた。――その白髪の将のうしろ姿には、さすがにもう生死を超脱しているなと、うなずけるだけの落着きが見えた。

珠

一棟の数寄屋がある。

木の間の路地を導かれて、そこの一室にすわると、ここにはまったくべつな天地がある。清楚な自然と、幽寂な茶室の規矩にかこまれて、主客共に、血なまぐさいたましいから、しばし洗われていた。

折ふし秋の末。

そこらの木々の葉は、数寄屋のうちまで舞ってくるが、炉のあたりにも、床にも、塵ひとつなかった。

「織田どのの御家中でも、近ごろはみな、茶に御熱心と伺っておるが……」

などと和やかに雑談しながら、藤掛三河守は、釜に対して、柄杓を把っていた。

藤吉郎は、彼の作法を見て、あわてて断っておいた。

「主君信長はじめ、みなお嗜みは深いが、それがしのみは、生来の無骨者、何も弁えません。……ただ飲むは好きというだけのことで」

「結構じゃ」

三河守は、茶わんを置き茶せんをそそぎ、女性のような細心な点前を静かにつづけている。