Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
百年、悔いをあとにのこすな」
大声でいった。――いやいっているまに、駈け出して彼はもう城門のすぐ下まで来ていた。
「……おうッ、なるほど、織田家の木下藤吉郎だ。なんで来たのか?」
のぞき下ろした浅井方の将は、彼の目的を疑って、彼ひとりへの殺意などは忘れていた。
藤吉郎は、城門を仰いで、
「奥の丸へ、お取次ねがいたい。どなたでもよい、御一族へお取次ねがいたい」
と、ことばを重ねて呶鳴った。
「…………」
どうしたものか?
評議しているらしい声ががやがや聞える。やがてそれが嘲笑を交ぜてくると、城門のうえに、浅井方の一将が顔を出して、
「無用無用。何で来たか知らぬが取次はできぬ。おそらくはまた信長どのの使いで、説客に見えたのであろう。度々の徒労、むだなことだ、立ち帰れッ」
と、いった。
藤吉郎は、声を励まして、
「だまれッ、家臣の分際をもって、主人の意向もうかがわずに主人の客を追いかえす法やある。すでに落城したも同様なこの城を落すために、わざわざ手間暇かけて、説客に来たり詭謀をかまえる莫迦はない」
と、大言をはらい、
「それがしが参ったのは、信長様の代参として、長政どののお位牌へ焼香に来たのでござる。