Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

市松は、少女の片手をとらえながら、列の横に立った。

秀吉は、ま近に見て、かれが女性にたいして、物に何かを感じたときに見せる眼もとの表情を、チラとうごかした。

「どうだ、きれいな蝶々だろう」

かれは、ふと、甲冑の身と、甲冑の将士を思って、云いまぎらした。

「……だが、毒の蝶かもしれん。何しても、乙女で、かかる所を、うろつきおるなど、奇怪なことだ。市松、もそッと、馬のそばへつれて来い」

市松は、少女と共に、数歩すすんだ。

鞍のすぐそばまで、近づいた。

けれど、かの女は、ここでも、犬山城の将兵の中をすまして通ったときのように、いささかも、悪びれない、怖れない。世のつねの処女のように、うつ向くこともないのである。

「そもじは、何者だ」

秀吉は馬の上から、わざと、あどけないほど無恐怖でいる白い顔を、じっと見下ろした。

「小野の於通といいます」

於通も、じっと、秀吉を見かえした。

於通は、前の夜、城外の池田部隊のうちで、からくも、一夜を明かした。

部将の千田主水は、部下に、

(親切にしてやれ)

といってくれたが、兵たちにとっては、この好餌を見て、ただ親切だけをつくしてはいられない。