Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans
予譲の車
「…………」
数正の眼は風竹の戯れに見入っていたが、耳はまったく秀吉の低声に魅せられて熱していた。そして、心の奥のものが、風竹の葉のごとく、顫き戦ぐのをどうしようもなかった。
――思うらく。
この人にとっては、大坂築城のごときも、ほんの片手間仕事らしい。毛利へたいしてすら、異存あらば、七月以前に、申し越されよ、旗鼓の間に、解決しようと、云い切っているのである。――数正は、歎を越えて、かろい疲れすら覚えて来た。
「お船の御用意ができた由でございます」
折よくも、所司代の士が告げて来た。秀吉も、ちょうど書面を認めさせ終っていた。
暇を告げた。
秀吉は、帯びていた一腰を、
「古びたれど、良い刀と人は申す。寸志ぞ」
と、数正に与えた。
数正は、押し戴いた。
外へ出ると、秀吉の馬廻り衆一隊が、彼を大津の船着まで見送るべく、馬を揃えて待っていた。
予譲の車
京都に出れば京都にも、彼の裁決を待つ問題は山積している。秀吉は座臥間断なく決し去った。
柳ヶ瀬以後、大勢はすでに定まって、戦はすんだかの如くであるが、伊勢方面には、滝川一益が降ってもなお頑として屈しない地方的な局面が、幾ヵ所かに燻っていた。