Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

「何か、使いか?」

まさか物見とはたれも思わなかった。藤蔵が自軍のふじヶ根山へさして疾風のごとく駈け出したとき、初めて、バチバチ撃ち浴びせたが、もう間にあわなかった。

やがて、菅沼藤蔵が、無事にふじヶ根山の味方の中へもどって来ると、全山の将士は、わーっと、歓呼して、かれを迎えた。

家康も、将座から立ち上がって、かれの復命を待っていた。

「しかと、敵の布陣のうらおもて、見さだめて参りました」

藤蔵はその前にひざまずいて、田ノ尻、岐阜ヶ嶽、こうべ狭間の三高地にわたって、三段備え鶴翼の陣をとった池田軍のくばりを、てのひらを指すように、説明した。

その部将は、誰々。

鉄砲隊はどこに多く、槍隊はどこに潜まっているか。

見えない遊軍の有り無し。また士気の如何。――そして、敵の脆弱点はどこか。

藤蔵の復命は、微に入り、細にわたっていた。

「ウム、そうか。左様か」

家康も、いちいち得心のていで、うなずいた。ほかの物見と事ちがい、敵前敵中の十七、八町にわたる低地高地を、悠々と、ただ一騎乗りわたして、ぬすみ眼でなく、胆力で見とどけて来た藤蔵の報告である。家康も、信頼した。