Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

「あッ」

と、刺された勝入よりは、かえって、伝八郎の方が、力を余して、前へよろけた。

床几は仆れ、勝入のからだも槍の穂さきを背に貫かせたまま、ころがった。

「首を打て」

もいちど、彼はどなった。

しかもついに、そうなるまで、かれは太刀に手をかけずにいた。

みずから死を迎え、みずから首をさずけたのである。

伝八郎は、昂ぶりきって、夢中だったが、ふと敵将の最期のすがたに、その心もちを覚ると、なにか、人間同士のこうした相剋に、泣きたいような激情をつきあげられ、こめかみから眼の底を、ツンと、涙に刺された。

「おうッ」

と、かれは吠えたが、――そして望外な大てがらに、われを忘れるほど歓喜したが、次に、くだすべき手を、わすれていた。

すると、崖の下から、ガサガサと、先をあらそって駈け登って来たかれの味方たちが、

「安藤彦兵衛ッ、見参」

「上村伝右衛門、これに」

「あッ、勝入か。徳川家の蜂屋七兵衛ッ」

と、名乗りかけ、名乗りかけて、一個の首を、あばき合った。

首は、たれの手にかけられたか、とにかく、まっ赤な手が、もとどりをつかんで、ふり廻しながら、

「大将、池田勝入信輝のくび、永井伝八郎、打ったぞッ」