Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans
「上意っ」
とおめいて、後ろから引っ組んだ。長門は、
「こは、お情けなし」
と、脇差を七、八寸抜きかけたが、大力の勘兵衛に組み伏せられて、もがくのがやっとであった。信雄も、座を立って、
「勘兵衛、放せ放せ」
と云いながら、壁の周りを走り歩いた。激しい格闘がなお続いた。信雄は、手に白刃を提げながら狼狽して、
「放さねば、そ奴を、斬ることができぬぞ。勘兵衛、放してしまえ」
と、なおも云っていた。
勘兵衛は、長門の喉を、拇指で圧してから、機を計って、突っ放した。――放したと思うと、勘兵衛の脇差が、信雄の太刀もまたず、長門の脾腹を突きとおしていた。
室内いちめんの鮮血を見ても、信雄は案外、平然としていた。気の弱いくせにして、一面、残忍酷薄な性質もこの人のどこかには持たれているらしい。
その時、他の家臣たちが、室外にひざまずいた。そして口々に告げた。
「玄蕃が身は、ただ今、飯田半兵衛があちらにおいて、刺しとめました」
「田宮丸は、森源三郎が、誅を加えました」
信雄は、血臭い顔もせず、そうか、と軽く頷いた。しかしさすがに、ホッと大きな息を肩でついていた。いかにとはいえ、多年、側近に仕えて来た輔佐の老職三名を、一時に誅殺してしまうなどは何といっても、無残である。