Classiques japonais avec furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lisez 新生 (しんせい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 815 caractères · 663 écrans
朝顔もさかりを過ぎた頃であったが、一面に蔓の絡みついた隣ざかいの塀は重なり合った葉で埋まっていた。岸本は眼がさめてからもまだ続いている夜の心持を辿りながら、あちこちと塀の側を歩いて見た。葉と葉の間に顔を出した清しい色の花はどれを見ても眼がさめるようであった。その度に、半分夢のように人を待ち明した熱苦しい夜は彼から離れて行った。
そのうちに節子も起きて来た。彼女は勝手口の戸を開けると直ぐ叔父の姿を見つけた。まだ祖母さんも嫂も起出さないほど早かったので、節子は勝手の支度を始めない前に一寸叔父を見に来た。花好きな彼女は一つの朝顔の前から他の朝顔の前へと歩いて、そこに一つ咲いた、ここに一つ咲いた、と叔父に花を数えて見せた。
「節ちゃん、昨日の話はどう成ったね。よく考えて見ると言ったお前の返事は」
と岸本が訊いた。その時節子は持前の率直で、明かに承諾の意味を岸本に通わせた。
「お前は叔父さんを受け入れたね――」
「ええ」
と節子は点頭いて見せた。
岸本は節子の意中を訊いて見ようとしたに過ぎなかったが、しかし彼女の「ええ」は何がなしに彼を悦ばせた。節子が勝手の方に気付いたようにして急に彼の側を離れて行った後でも、彼は朝の空気の中を歩いて見て、非常に年齢の違った自分のようなものに向って一生を託してもいいと言う彼女の心根のあわ