Classiques japonais avec furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lisez 新生 (しんせい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 815 caractères · 663 écrans
百十七
では、しばらくお目に掛ることの叶わぬものが、ここにお別れを告げると書いた。今日までいろいろとお世話に成ったことを忘れる自分ではないと書いた。祖母さんはじめ、皆々様御機嫌よくと書いた。義雄大兄、捨吉拝と書いた。猶々、泉太繁等は時々お訪ねすることがあろうと思うが、それだけは御許しを願って置くと書いた。岸本はこれを書いてホッと息を吐いた。この手紙は谷中宛に郵便で出すことにしたが、これが義雄兄の手に届く時は、しばらく節子にも別れを告げる時だと思った。彼女の修業の上から言っても、岸本はそれを彼女のために好いと考えた。彼は一切を節子の自由に任せようとした。今日まで節子を導いて来た彼女の生命は明日も彼女を導くであろうと信じたからで。
百十七
谷中の家を中心にした親戚との衝突は最早避けがたく思われて来た。それにしても岸本は節子の位置をハッキリさせて置きたいと思い、更に義雄兄に宛てて前に送ったよりは一層書きにくい手紙を書きに掛った。
この手紙は大兄に宛てたものではあるが、輝子に持参して貰うためわざと渋谷の方へ送る、と岸本は書き出した。何卒輝子に読ませて聞いて頂きたいと書いた。