Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんせい

新生

島崎 藤村

Lisez 新生 (しんせい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 815 caractères · 663 écrans

Aozora Bunko

七十八

それだけ自分でも年をとったかと思いますね。僕は時々そう思いますよ、恋が出来ないと成ったら人間もこれで心細いものです。自分にはまだ出来る、そう思って僕は自分で慰めることが有りますよ」

これも客の残して行った声だ。

「僕にも出来る」

と客の前に立って、力を入れてそれを言ったのは岡だ。岸本はその時の二人の眼のかがやきをまだ眼前に見ることが出来た。

客が女性に近づくための方便としたという岸本の詩集は、作者たる彼に取ってはあべこべに女性の煩いから離れた時に出来た若い心の形見であった。漸く彼も二十五歳の頃で、仙台の客舎へ行ってそれを書いた。あの仙台の一年は彼が忘れることの出来ない楽しい時代である。ずっと後になってもよく思い出す時代である。そしてその楽しかった理由は、全く女性から離れて心の静かさを保つことが出来たからで。実際岸本は女性というものから煩わされまいとして青年時代からその日まで歩き続けて来たような男であった。

七十八

発つ発つという噂があって発てなかった美術学校の助教授がいよいよ北の停車場から帰国の途に上るという日は、ほんとうに人を送るような思いをして岸本も停車場まで出掛けて行った。